略歴
1987年 早稲田大学理工学部応用化学科卒, 1992年 同大学院博士後期課程修了(工学博士),1991年 早稲田大学理工学部応用化学科助手,1993年 同専任講師,1996年 同助教授,1997-1998年 スタンフォード大学客員准教授,1998年- 米国国立科学財団シリコンウェハ工学研究センター(NSF-I/UCRC-SiWEDS)兼任研究員, 2003年- 同大学院ナノ理工学専攻担当, 2005年 早稲田大学理工学部応用化学科教授
学会活動
電気化学会評議員・会誌編集委員・国際交流委員,表面技術協会評議員・会誌編集委員・学術委員,エレクトロニクス実装学会会誌編集委員,日本化学会化学教育協議会副議長・化学グランプリ・オリンピック委員会委員長,米国電気化学会誌Journal of The Electrochemical Society Associate Editor
1991年 表面技術協会柴田記念賞,1997年 安藤記念学術奨励賞,1999年 電気化学会進歩賞 表面技術協会進歩賞,2000年 INTERFINISH最優秀論文発表賞,2010年 米国電気化学会研究業績賞,2013年 電気化学会論文賞,2015年 電気化学会学術賞
研究キーワード
物理化学 / 電気化学 / マイクロ-ナノファブリケーション / マイクロリアクター / 固液界面計測 / 計算化学
連絡先
〒169-8555東京都新宿区大久保3-4-1 65号館200
E-mail:t.hommaアットwaseda.jp(お手数ですが、”アット”は@にお直しください)
研究内容
当研究室では固-液界面(電極界面)や液-液界面反応に焦点を当て,その解析,反応場の設計を通じ,新規材料・デバイスの創出や反応プロセスの構築に取り組んでいます.主に,ナノ・マイクロ加工技術と電気化学反応に基づいて新規材料・デバイスを創出する「ナノ・マイクロファブリケーション」,太陽電池級シリコン製造を目指したプロセス開発,反応解析に取り組んでいる「シリコンデバイス」,界面における反応機構を実験的・理論的に解析する「界面反応機構解析」を中心テーマに研究を展開しています.
先進ナノ構造・デバイスプロセス
リソグラフィ等のナノ・マイクロ加工技術と電気化学反応(電気めっき,無電解めっき)を組み合わせたファブリケーションプロセスを開発し,新規ナノ機能材料・デバイスを創出しています.例えば,マイクロ構造を有する熱電変換素子,磁性ナノドットが規則配列した磁気記録媒体の作製に取り組んでいます.これらの研究では材料・デバイスの高機能化に向けて,いかに界面反応を制御するかが鍵を握っています.
プラズモンセンサ界面計測
表面増強ラマン散乱を利用したセンサを開発し,電極反応や薄膜の構造解析に応用しています.ラマン分光はレーザー照射により局所的な構造解析が可能で,高真空等の条件を必要としないことから電極反応進行中の変化を直接解析(in situ解析)することができる手法です.またナノ・マイクロ加工技術を利用し,金属ナノ粒子を付与したレンズを作製することで,ラマン散乱の強度を増大(表面増強)させ,高感度の界面計測手法を確立しています.具体例として,リチウムイオン電池の負極反応の解析に適用し,電池特性に大きな影響を及ぼす電解液分解・被膜生成の過程を明らかにしています.
電極表面プロセス解析
電極反応は大規模なエネルギー貯蔵や変換にも有用な反応ですが,反応の効率やスケーラビリティは電極表面における原子~ナノレベルの微視的な構造や反応種の挙動によっても左右されます.したがって,電極表面で何が起こっているかを解明し,それを制御することが課題となります.当研究室では大規模なエネルギー貯蔵・変換技術として注目される亜鉛二次電池の負極反応および電極触媒による水素発生反応を解析対象に,反応プロセスの解析・設計に取り組んでいます.
Si光エネルギー材料・デバイスプロセス
太陽電池級シリコン(SOG-Si)を製造するプロセスとして,偏在性の少ないSi資源を利用し,低コストや低エネルギー消費を実現可能な,流路型デバイスによる高純度シリカ精製プロセスの研究を行っています.当研究では3Dプリンタにより流路デバイスを設計し,流体挙動を制御して溶媒抽出を行うことで,半導体特性に影響するホウ素等の軽元素を除去するプロセスの確立を目指しています.また太陽電池用Si薄膜を形成する反応として,非水溶媒(イオン液体および有機溶媒)からの電解析出反応に注目しています.特に放射光分光を利用したSi電析反応メカニズムの解明や,電析条件による半導体特性制御に焦点を当て研究を展開しています.
固液界面反応機構解析
電極反応(電気めっきや電池反応)では固液界面という特異な反応場で反応が進行することから,界面現象を解析し,理解することが材料・デバイスの特性向上,合理的なプロセスの設計に不可欠です.一方,固液界面反応における反応メカニズムは,実験だけでは十分明らかにできない事も多く,量子化学計算を用いた反応の理論的解析に取り組んでいます.例えば,電気めっきや無電解めっきで利用される錯化剤や添加剤が電極反応に及ぼす影響を理論的に解明しています.
代表論文
- T. Homma, A. Kato, M. Kunimoto, M. Yanagisawa, "Direct observation of the diffusion behavior of an electrodeposition additive in through-silicon via using in situ surface enhanced Raman spectroscopy", Electrochem. Commun., 88, 34-38 (2018).
- Y. Tsuyuki, T. Fujimura, M. Kunimoto, Y. Fukunaka, P. Pianetta, T. Homma, "Analysis of Cathodic Reaction Process of SiCl4 during Si Electrodeposition in Ionic Liquids", J. Electrochem. Soc. 164, D994-D998 (2017).
- T. Otani, Y. Fukunaka, T. Homma, "Effect of lead and tin additives on surface morphology evolution of electrodeposited zinc", Electrochim. Acta, 242, 364-372 (2017).
- S. Wodarz, J. Abe, T. Homma, "Analysis and Control of the Initial Electrodeposition Stages of Co-Pt Nanodot Arrays", Electrochim. Acta, 197, 330-335 (2016).
- M. Kunimoto, Y. Sadaoka, T. Nakanishi, T. Osaka, T. Homma, "Theoretical study on the formation mechanism of amino acid-Cu(II) complexes on an enantio-sensing device interface", J. Phys. Chem. C, 120, 15722-15729 (2016).
- T. Homma, "Electrochemical Processes for the Fabrication of Functional Micro-nano Structures and Devices: Mechanistic Understanding and Process Development", Electrochemistry, 83, 680-687 (2015).
- K. Uda, Y. Seki, M. Saito, Y. Sonobe, Y. - C. Hsieh, H. Takahashi, I. Terasaki, T. Homma, "Fabrication of Π-structured Bi-Te thermoelectric micro-device by electrodeposition", Electrochim. Acta, 153, 515-522 (2014).
- N. Matsuo, Y. Matsui, Y. Fukunaka, T. Homma, "Boron Extraction with 2-Ethyl-1,3-hexanediol Using a Microchannel Device for High-Purity Source of Solar-Grade Silicon", J. Electrochem. Soc., 151, E93-E96 (2014).